第2章 呪術高専
夏油side
いよいよ海に出かける日だ。
何日も前から風海が楽しみにして、1人の時に鼻歌をうたっていたりスキップしているところを見かけては微笑ましかった。
本人は隠しているみたいだが、みんな気がついている。風海のために楽しく出かけられるようにしようと心に誓った。
寮の玄関で待ち合わせをした。
女の子を待たせるのは性に合わないから10分前に行くと、もうすでに待っていた。水色のワンピースを着て、髪をアップにしている彼女が。普段髪を下ろしていることが多いので、いつもは見えない白い頸に喉がなる。
しばらくその場から動けなかった。
あまりにも可愛くて…
ただ立っているだけなのに、楽しそうにしている君が愛おしくて。
…私は風海が好きだ。
自分で守ってやりたい、そう思った。
遠くから見守っていると、七海が来て挨拶をされる。2人で風海の方へ行くと、眩しいほどの笑顔で挨拶をしてくれた。
駅までの道中や電車を待っている時、電車内での風海への視線はとんでもなく多く、牽制するのが大変だった。彼女は美しい容姿をしているから仕方のないことだ。
絶対に1人にしないよう心に誓う。
もちろんそのつもりなんて全くなかったのだけど。
水着姿の彼女は破壊力抜群だろう。本当ならその白い頸も他人に見せたくない。
電車内で聞き捨てならない声。
…彼女のどこを見てる。目を潰してやろうか。
悟「なぁお前さ、周り気にし過ぎだろ。今、楽しくねぇの?」
いつもは調子に乗ってふざけているが、彼女の表情を見て発した言葉だった。よく見てるな。
きっと悟も同じだったんだろう。なんだかんだ、彼女には甘い。
あんなに楽しみにしていた風海にはどうか最後まで楽しい気持ちでいてもらいたい。
傑「風海は何も気にせず楽しめばいいよ。外野は私たちが黙らせるからね」
安心させるように笑う。
『悟さん、傑さん、ありがとうございます!』