第7章 年始
悟さんが五条家の方とお話をして、高専に硝子さんを送ってから五条家へ行くことになった。
高専に着くと補助監督さんが硝子さんを待っていて、走りながら何かを説明しているようだった。
車がまた出発すると傑さんの姿が見えて、目が合ったような気がした。思わず窓に張り付き、目で追った時には女性の補助監督さんと仲良くおしゃべりしていた。
もう、私のことなんてどうでもいいのかな?
でも悟さんにも別れを告げたのに、今も優しくしてくれる。それは人魚姫の力を利用するためなんだろうか?
『ねぇ、悟さん?私は今日、どういう立ち位置で参加したらいいの?』
悟「あぁ?婚約者に決まってるだろ?…と言いたいところだけど、状況が変わった。一応おまえも歴史のある一族だから、名を絶やさないようにした方がいいし、親父さんもそーいう考えだった。だから、武神家と同盟を結ぶことにした。傑が武神家の婿養子になって、俺が当主としておまえのことを守っていく。それで3人一緒にいられる。」
それを聞いて、思わず抱きついた!
色々考えてくれてた!それも傑さんのこともちゃんと一緒にいられるように。
『ありがと、悟さん!でも…悟さんは誰かお嫁にもらわないと、五条家の子孫が絶えてしまうんじゃ…こんなに嬉しいことはないんだけど、私、悟さんが他の人と交わるのはちょっと嫌だというか…』
だんだんと声が小さくなる。
嬉しいよ?けど、こんなこと言える立場ではないけど、悟さんのことも傑さんのことも独り占めしたいの。
悟「嫉妬してんの?…可愛いやつだな♡正直、家のことなんてどーでもいいんだよね!だけど使わない手はないから、当主になるだけ。五条家当主の力でおまえが生きやすいようにするからさ!
子どものことは、傑と話してからにするから待ってろ。」
私はなんて幸せなんだろう。
どちらかを選ばなくてはいけなかったのなら、きっと海に身を投げて泡になっていたと思う。海も味方してくれていた。
精一杯生きよう。
でも、さっきの傑さん…もう私のことなんて好きじゃないのかもしれない。そしたらどうしよう…
そんな心配をしていたら、
悟「今日は五条家の人間全員が集まる。だりぃんだけど、おまえのこと紹介するつもりだったんだよ、婚約者として。だけど…事情が変わったからなぁ〜。人魚伝説を公にしようと思う。」