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真珠の涙

第6章 年末


傑さんのご実家へ行く日、悟さんは任務が入ってしまい後で合流することになった。今は2人で電車で向かっている。悟さんも一緒だと思っていたから緊張も半減のはずが…2人でご実家に行くなんて、どうしよう。
結局、白のニットにネイビーのスカートを合わせて着ることにした。今はコートを着ているからわからないけど。早く傑さんにもみてほしいな♡

『傑さん、私、変じゃない?』
何度目かの確認。

傑「今日もすごく可愛いよ、風海。そんなに緊張しなくて大丈夫。」

そう言いながら頭を撫でてくれる。いつも私を安心させてくれる大きな手。電車の中なのを忘れて、引き寄せられるまま傑さんの胸の中に収まった。

年末にも関わらず、混雑した電車の中。背も高くてかっこいい彼はやはり目立つようで、女性のコソコソと話す声が気になる。
“ねぇ、あの人カッコいい” “背高いね”
“色気ヤバくない?” “声かけてみる?”
“一緒にいるの彼女かな?” “関係なくない?”

わかるよ、かっこいいもん。けど、声かけられたら嫌だな。バッグにしまえたらいいのに。

『ねぇ、傑さん。次の乗り換えはいつ?』
とくに意味のない会話。
緊張を和らげるためと、他の女性に声をかけられないようにするための作戦。果たして作戦と言えるかどうかは別として。離れないようにしないと…。

傑「まだもう少しかかるかな。乗り換えたら座れると思うから。」
そう言って微笑まれた。
“やっぱかっこいい♡” “笑った!”
もう!周りの声が気になってしょうがない。今は私が独り占めしたいのに…

次の駅でたくさんの人が乗ってきて、押されるように開いたドアの反対側まで追いやられ、傑さんと離れてしまった。満員電車なので思うように動けず、小さな私は埋もれてしまった。でも傑さんがどこにいるかは見えていて、口パクで“だいじょうぶ?”と聞いてくれる傑さんに嬉しくなる。わかるように笑って頷いて、次の駅まで1人で頑張ろうと思った。

でも不安は的中。傑さんの周りは女の子ばっかり。目がハートマークに見えるのは私だけ?傑さんはずっとこっち見てくれてるけど…


少しご実家に行く緊張感は薄れたが、別の感情が心を占める。これってヤキモチってやつだ。私なんかがおこがましいけど…傑さんも悟さんも独り占めしたいなんて贅沢だ。
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