第4章 変化
夢を見た。
海の中にいる夢。
人間に恋してしまったけど、生きる世界が違うから諦めなくてはいけなかった。ある日助けてくれる人が現れた。彼も私が人間になることを望んでくれた。
私の家族は反対したけど、海の側に住むこと、海の声を聞くこと、海の物を持ち歩くことを条件に許してくれた。
人間にしてくれた呪術師には感謝しても足りないほど、幸せだった。毎日愛を囁いてくれる彼との間に子どもができた。初めは、ちゃんと人の姿で生まれてくるのか不安だったが、無事に産まれた。
お父さんに似て、元気な男の子だった。
その後たくさんの子に恵まれて、家族は大きくなった。
人間になっても、毎日海に入って海の生き物たちと会話をした。
ある日、怪我をした子に涙がかかってしまったら怪我が治った。呪術師の男に報告をして、役立ててもらおうと思った。
だが、この力を悪用しようとするものが現れた。
私に似て眼の青い女の子が囚われ、拷問されている。しかし涙を流さないで耐えている。終いには家族が連れてこられ、目の前で酷い死を見せられている。
愛する人が助けに来た頃には、血を抜かれて無様な姿で倒れている。
その人は悟さんのように空色の眼をしていて、女の子を海に帰してあげた。泣きながら「生まれ変わったら必ず幸せにする」と誓って、自分の指を切り取り、彼女に持たせて海に沈めた。
不思議な夢…
まるで自分に起こっているような、そんな感覚。
これは過去の記憶?
生まれ変わったとしても同じ時代に生まれ変われるかわからないのに、そんな風に人を愛せたら…私にとっての一番はだれ?