第4章 変化
怖くて聞けない。
『…悟さんは?』
伏「あぁ、五条家のお坊ちゃんならズタズタにしてきた。君も来てもらう。」
なんてこと。ズタズタって…でも、今涙を流せない。この人に涙を取られてしまったら。悟さんのところに行きたい。けどまずはこの人を止めないと!
『私は行かないし、この先も通しません!』
薙刀を構えるが速すぎて追いつかない。ついには背後を取られて腕を捻り上げられる。
少しでも時間を稼がないと!
『あなた何者なの?!呪力が全くない人なんて…』
なんとか振り解いて構え直す。
伏「呪力が溢れるおまえは、なぜ俺に勝てないのか?ってこと?まぁそれはどうでもいい。とりあえずさ、俺のとこに来いよ!可愛がってやるよ?」
首を横に振る。呪具に絶え間なく呪力を流し続ける。
伏「ところで風海、彼氏はどっち?
強い男が好きなら俺にしろよ?」
何をふざけたことを。
コイツ!今も本気じゃないし、私を揶揄って楽しんでる。こんなやつに悟さんは…唇を噛み、血が滲むのがわかる。
伏「おいおい、その感じだと五条の女かよ。こりゃ高く売れるな。
それに…あんまり血は出さない方がいいんじゃない?人魚姫」
知ってる!私が人魚姫だって。やっぱり眼の色のことに気がついていた。だったら躊躇わずに人魚の力を使えばよかった。
『なんで知っているの?あなたは何を知ってるの?』
外部に私の情報が漏れているかも。
聞き出さないと。コイツが何者かも。
伏「あぁ?武神家については伝説だと思ってたよ。確かに人魚なんていないと思ってた。おまえの眼の色を見るまではな。
おまえの先祖は拷問されたんだってよ。大切な人を目の前で殺される気分はどんなかね?今みたいに涙を流さずにいられるか?
じゃあ、そろそろ…」
と言いかけ、スピードが上がる。あっという間に手足を拘束されて横抱きにされる。肩に乗ってる呪霊が気持ち悪い。
捕まった…
どうしよう
傑さんは任務完了しただろうか。
黒井さん、理子ちゃんごめんね。
大切な人が1人いなくなってしまった。