第2章 おもちゃ廃棄場2
「いるんでしょう、おもちゃ廃棄屋さん?」扉の向こうでそんな大声が聞こえる。「今朝のニュース見ましたか? 法律上、おもちゃは完全処分が決まったんで……」
バーン!!
僕の心臓は飛び跳ねた。
何事かと振り向けば、勝手にスイッチが入ったのか、モンチッチドズルがシンバルを叩いたらしかった。僕は急いでモンチッチドズルを手に取った。
「なんで出てこないんです? 出てこないと、強行しますよ?」
扉の向こうでは、まだ荒々しい声が聞こえる。
「助けて助けて!」
僕が慌てながら寝室へ駆け上がると、ベットにいたはずのぼんじゅうるピエロが床に転がっていた。もちろん、助けるさ。僕はぼんじゅうるピエロを拾い、お気に入りの棚に飾っていたテディおらふくんを掴んだ。他のおもちゃは……持って行きたいがこれ以上は無理だろう。
「ごめんっ」
僕は窓から飛び出した。と同時に、玄関がこじ開けられる音がした。靴を履いていなかったので、僕は裸足で庭へ出た。
ウィーン……。
「……?」
小さなモーター音が聞こえて足元を見ると、僕の古い靴がそこに転がっていた。そして、そばにはおんりーロボット。
今日はこんなところまで遠出をしていたらしい。ここまで来ちゃったのなら、連れて行くしかないと僕は思った。
僕は靴を履いて駆け出した。遠くで聞こえたのは、おもちゃをいつまでも保管している廃棄場は、処分するために火を点けるらしい。馬鹿馬鹿しいが、やつらは僕の家でもある廃棄場に、本当に放火した。
「……はぁ」
自分の家が燃えているのを尻目に、なんとか林まで逃げてきた僕は、唯一連れ出した四体のおもちゃを地面に下ろして気づいた。
もう一体増えている?
MENザウルスが体のあちこちに煤をつけて、いつの間にか僕の腕の中にいた。最初からいましたけど? と言わんばかりに。
「……でも、お気に入りが無事でよかったよ」
僕はMENザウルスの煤を払いながら、せめて地下のおもちゃは無事なんだろうか、と考えた。