第2章 おもちゃ廃棄場2
僕はこうして様々な訳ありおもちゃを引き取ってきた。特に先程紹介した五つのおもちゃは僕のお気に入りだ。
だがある日、その時はやってきた。
僕はいつも通り、おもちゃに囲まれた食卓で朝のコーヒーを飲みながら、ニュース番組を眺めていた。流れるように切り替わった画面とテロップに、僕のコップを握ろうとした手が止まる。
──おもちゃ禁止令──
この世の中、おもちゃやお菓子などという娯楽品は生きるためには不必要なものなのだと。その手始めに、まずはおもちゃを完全に処分せよ、という法律が出来たことを知らせるものだった。
各地にあるおもちゃ廃棄場からおもちゃを失くせ。そのような指示がアナウンサーを通して、僕の頭の中は真っ白になった。
僕は急いでおもちゃを地下室に押し込んだ。あれもこれもみんな大事なおもちゃなんだ。元持ち主の大事な思いが、そして、おもちゃの記憶が詰まった愛を形にしたもの。僕は無我夢中でおもちゃを地下へ放り込んでいる途中、ドンドンドン、という激しいノック音が聞こえた。