第3章 おもちゃ廃棄場3
「いやぁ、困った状況になりましたね……」
モンチッチドズルは、廃棄場主が眠りについたのを見計らって喋り出した。
「俺たちこれからどうなるんだ?」
ピエロぼんじゅうるが、傾いた帽子を直しながら生き残ったおもちゃたちを見回す。
「主さん、ずっと野宿じゃかわいそうよ」
テディおらふくんはそう言いながら、疲れてその場で横になる廃棄場主に、何枚か枯葉を掛けていた。
「でも、おもちゃが急に喋ったらびっくりされん?」
物静かな声で、おんりーロボットがみんなに問いただす。おもちゃに意志があることを、人間にバレてしまってはいけないからだ。
「もういっそのこと、俺たちが勝手に喋ったり動いたり出来ることを伝えてもいいんじゃないっすか?」
とMENザウルスは提案し、モンチッチドズルはうーんと唸った。
「おもちゃが処分される本当の理由は、僕たちがこうやって喋ったり動いたりするのを隠蔽するためだと聞いたよ。大人たちは僕たちが怖いし、廃棄場主さんは大人だから、もしかしたら……」
「大丈夫だって。廃棄の俺たちをここまで連れてきてくれたんだよ?」
安心させるかのようにぼんじゅうるピエロはそう言った。
「そうかもしれないけど」
おんりーロボットは、どちらともつかぬ反応をし、テディおらふくんは悩みながらもぼんじゅうるピエロに賛成した。
「僕も、廃棄場主さんのこと信じるよ」
そんな時、MENザウルスが意味深な面持ちで、えー、話し合ってる中割り込むが……と切り出した。
「その廃棄場主さんが今こっちを見ているんだが」
えっ。
一瞬、時が止まったようだった。
それからおもちゃたちは慌ててその場で体勢を崩したが、もう遅かった。
「さっきの話、聞こえていたよ」廃棄場主が話す。「僕は君たちが本当に大事だから……おもちゃのない世界なんて考えられない」
その後、五体のおもちゃと一人の人間が、娯楽品のなくなった世界を救ったのだが、それはまた、別のお話……。