第1章 おもちゃ廃棄場
そして、次に来たのはおんりーロボット。見た目もきれいで、手足も動かせるかっこいいロボットなのだが、元持ち主に訊ねると、いつの間にか遠くまで移動している気がして気味が悪い、とのことで捨てたらしかった。
僕の仕事場兼家のここでは、おもちゃが動くなんて日常茶飯事。君も好きに動いていいからね、と言って置いたからか、本当にどこかに移動したみたいだった。
けれども、探すとすぐ目につくようなところにいるので、なんとなく守られている感じがして安心する。今日はここにいたんだね。僕はおんりーロボをいつもの棚に飾りながらお喋りをする。このロボットには喋る機能はないけれど、きっと僕たちの言葉は分かるはずだ。
次に僕の元に廃棄されたおもちゃは、テディおらふくんだった。テディおらふくんは大人気おもちゃを生み出し続けている会社が作った目玉商品だったのだが、子どもがテディおらふくんを抱いて寝ると必ず風邪を引くという謎の都市伝説がついて回り、気味悪がった持ち主が、僕のところに持ち込んだということだった。
悲しかったのは、持ち主は最後の最後まで、テディおらふくんを手放すのをためらったことだ。ほつれたところを丁寧に縫い合わせた跡があるところ、かなり大事にされたということはよく分かる。
「大事にします」
僕はテディおらふくんを引き取り、出来るだけ元通りになるように修復をした。それからかわいいおもちゃに囲まれた棚に置くと、部屋がほんのりと冷えた気がした。僕は暑がりだから丁度よかったけれど……まさか、ね?