第20章 料理を二度と作らないと決めた日(千切・氷織・冴)【前編】
千切豹馬
「料理、下手なんだから作るなよ…」
疲れきった顔でひょーまはそう言った。そしてたったその言葉だけで私の心はズタズタになって目からボロボロと涙が零れていく。私は料理が壊滅的に下手で味も不味いし毎回焦がしてしまっていて、それでもひょーまは「毎日ありがとうな。これ焦げてるけど美味い!🌸ってすげぇな、日々上手くなってるぜ?料理」と言って残さず食べてくれていた。でも本当は無理して食べていたみたいだし、作って欲しくなかったみたいだ。我慢させちゃってだんだろう、だから今日その我慢が限界で言ったんだろうなぁ。
『そう、だよね。疲れて帰ってきてるのにこんな不味いご飯食べたくないよね!なんで私気が付かなかったんだろ〜』
「あ……待って🌸。違うんださっきのは、そうじゃなくて」
するとひょーまは慌てたように言葉をかけてきた。
「悪い、今のは違ぇ…」
『良いって!ごめんね、これからは作らないから!デリバリー頼もっか!』そう言いながら私は作ってた料理を全部ゴミ箱に捨てた。
「🌸!?お前何して!」
『もう作らないから安心してね』
泣きながら私は無理矢理笑顔を浮かべた。