第19章 料理を二度と作らないと決めた日(ノア・愛空・玲王)【前編】
御影玲王
下手くそで味も不味くて形も歪な私の料理を玲王は『🌸、すげぇ美味いよ!』と満面の笑みを浮かべて食べてくれた。それが嬉しくてもっと上手に作ろうと頑張っていて、今日も玲王の帰りを待ちながら歪な形をした料理を作っていた。
「ただいま…」
疲れきった声が聞こえてきて、玲王が帰ってきたと思えば彼は無表情のままリビングに入ってきた。『おかえりなさい玲王!あとごめんね…またご飯歪になっちゃった』と言いながら近づけば玲王は溜息をついてから、私が手にしている歪なご飯と少し汚れた台所を見る。すると玲王はまた溜息をつきながら私を見た。
「料理下手なんだから作るなよ…」
小さな声でそう呟いた玲王の言葉に私は目を見開かせて、手に持っていたお皿を落としてしまった。すると玲王は我に返ったような表情をして目を見開かせている。
「ちが、🌸、違うんだ。悪い……ちがうんだ」
『ごめんね、下手なご飯毎日食べさせようとしちゃって。こんな不味いご飯食べなくなかったよね』
そう言いながら私は落ちたお皿を広い散らばった料理も拾うと全部ゴミ箱に捨てた。台所にあった料理も全部。
「🌸!?何してんだ!」
『もう作らないから安心して。今日はデリバリーにしよっか』
そう言って私は笑った。