第19章 料理を二度と作らないと決めた日(ノア・愛空・玲王)【前編】
オリヴァ・愛空
「あのさぁ🌸。料理下手なんだから作るなよ」
初めて私はそう言われてしまって、驚いて言葉が詰まっていた。私は確かに料理が破壊的に下手で味付けも最悪で、でもそれでも愛空は何時も「美味いよ、段々上手くなってる」と褒めて残さずに食べてくれていた。でもそれは何時も我慢して食べていたせいで、その我慢が限界になったのかもしれない。
『そう、だよね。何時も下手くそなご飯作ってごめんね。毎日辛かったよね!』
泣いてしまえば愛空が悪い人のようになってしまうので泣くのを我慢していれば、愛空が目を見開かせて私の手を握る。
「違う、ごめん🌸。今のは違うんだ。辛くないから」『うんうん、良いよ…。愛空何時も我慢して食べてくれてありがとう。でももう作らないから安心して!』
下手くそな作り笑いを浮かべながら作っていた料理を全部ゴミ箱に捨てれば愛空が泣きそうな顔をしていた。
「🌸!なにしてんだ!?」
『こんな料理食べなくていいから…。ごめんねお風呂行ってくる』
そう言って私は逃げるようにその場を去った。もうご飯は作らないし愛空に食べさせちゃダメ。そう考えれば涙がボロボロ落ちていった。