第16章 料理を二度と作らないと決めた日(潔・凪・凛・ネス)【前編】
凪誠士郎
「あのさ…🌸。料理下手なんだから作らないでよ」
疲れきった顔をしながら帰ってきた誠ちゃんにそう言われてしまった。料理が下手で焦がしたり味付けが変だったりとよくしていたけれど、誠ちゃんは「ありがとう、🌸の料理段々上手になるから好き」と言ってくれたが今日は違った。嫌そうな迷惑そうな顔をしてちょっと散らかった台所と焦げた料理を見ていた。
『あ……ごめん。そうだよね、下手な焦げた料理とか食べたくないよね。ごめん』
「…え、あ…」
すると直ぐに誠ちゃんは焦ったような表情を見せていたが私の目からはボロボロと涙が零れていた。ちょっとでも上手になった料理を食べてもらって喜んでほしかったけど、誠ちゃんにとっては迷惑だったみたいだ。
『疲れて帰ってきたのにこんな不味いご飯食べたくないもんね!ホント、ごめんね…。これ捨てちゃうから』
そう言って泣きながら作っていた料理をゴミ箱に捨てた瞬間誠ちゃんが大きな声を出した。
「🌸!」
何かを言おうとした誠ちゃんの横を通ると私は寝室に向かい布団を被って泣き続けた。あんだけ頑張って作りたかった料理はもう、作りたくないと思ってしまった。