第34章 結婚指輪を捨てた日(潔・蜂楽・千切)
潔世一
「結婚なんかしなきゃ良かった」
そうよっちゃんに言われて目から涙が零れ落ちた。きっかけは些細な喧嘩がヒートアップした事で、よっちゃんが溜息をついて呆れたようにそう言った。喧嘩の勢いでもそんな事言って欲しくなかったのに。
『じゃあ離婚しよう』
「は?」
『もうこの指輪も要らない!』
泣きながら私は結婚指輪を外すとゴミ箱に投げ捨てた。
「何してんだよ🌸!」
ギョッとしたよっちゃんは慌てて結婚指輪をゴミ箱から拾う。
『だってよっちゃんが言ったんじゃん!結婚なんかしなきゃ良かったって!じゃあ離婚すればいいじゃん!なら指輪も要らない!』
そう言いながら私がボロボロと涙を零していれば、よっちゃんも泣きそうな顔をして私を抱き締めてきた。
「ごめん、ごめん🌸。俺、言っちゃいけない事言った。ごめん…」
ギュッと優しく抱きしめてから離れるとよっちゃんは私の手を握った。
「🌸、ごめん。もう絶対あんな事言わないから、離婚しようって言わないで」と弱々しく言うので『本当にもう言わない?』と聞けばよっちゃんは頷いたので「じゃあ、指輪付けて?私も酷い事言ってごめんね。指輪も捨てちゃってごめんなさい」と言えばよっちゃんは微笑みなが指輪を付けてくれた。
「もう言わない。もう🌸にあんな事言わせないし指輪も捨てさせない」