第32章 子供は私だけで育てると決めた日(凪・凛・カイザー)【後編】
ミヒャエル・カイザー
『ミヒャエル…』
どうやら友人が平手打ちしたらしく、ミヒャエルの頬は赤くなっていた。泣きそうなそんな顔をしながら私を見ていて、何やら言いかけては口を閉ざしてを繰り返している。
「何しに来たの。🌸を傷付けておいて次はなに?」
友人の言葉にミヒャエルは唇を噛み締めてから頭を深く下げてきた。滅多に見ないミヒャエルのその姿に驚いていれば、
「俺が悪かった…。もう言わないと言いながらまた言ってお前を傷付けた。俺はクソ野郎だ」
そう謝ってきて、よく見れば彼は震えていた。
「俺は🌸の優しさにクソ甘えていた。別れるって言ってもお前は傍に居てくれると調子に乗っていた」
ミヒャエルは震えながら顔をあげると私を真っ直ぐに見てきてから、赤ちゃんがいる私のお腹へと視線を移した。
「申し訳なかった…。でも、もしまた許してくれるなら、お前とまた一緒に居ることを許して欲しい。赤ん坊の父親になることを許してほしい」
『熱愛報道出てたのに?私とヨリ戻したいの?』
「あれは親戚の女だ。嘘じゃない。お前にどうやったら許してもらえるか相談してた」
その言葉は嘘では無いらしく溜息をついた。
『チャンスあげる。家に戻るあいだに私がどうやったら許すか考えて?』
「戻ってくれるのか!?」
『最後のチャンスだからね?』
結局私はミヒャエルの甘いらしい。だって素直に謝る彼と震えながら泣きそうな顔する彼を許してあげたいって思ってしまうから。その後友人からは怒られたが今はミヒャエルは喧嘩しても別れるは言わないし、言いそうになったら自分を何故か殴るようになったので赤ちゃんと共にドン引きしてはいるけど笑ってもいる。