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おらおん

第1章 本当の名前で


「ねぇ、近くない?」
 俺たちが恋人同士になって一ヶ月。俺とおらふくんは時々こうして互いの家に来ては一緒に映画を見たりゲームをして遊んでいたのだが、やはり彼のこの距離感はまだ慣れずにいた。
「そお?」
 おらふくんはあどけない顔をして俺から離れる。ちょっと惜しい気もするけど、それでもずっと膝の上に乗られると恥ずかしいのだ。
「ねぇねぇ、おんりー」
 しかしおらふくんは拗ねることもなく、楽しそうにカバンから何かを取り出した。何、と聞かなくてもおらふくんが言いたいことが分かって口をつぐんだ。
「これ一緒に見よ?」
 とおらふくんが手に持つものは、パッケージだけで分かるホラー系の映画だ。てかなんでわざわざ借りてきたんだ。ダウンロードしたらどこでも見れるだろ。
「……なんで今?」
 このシチュエーションには絶対合わないホラー映画を、なぜおらふくんは持ってきたのか。時々彼のセンスが独特で理解出来ないことがあった。
「え、おんりーと見たらおもろいかなって」
「いやぁ……」
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