第1章 眠り姫
「………ここは…」
目が覚めると手入れ部屋のベッドの中だった。
腕や胴体に巻かれた包帯と絆創膏が貼られた頬や額。
「やっとお目覚めか、日光の旦那」
「薬研…」
「こないだの任務で、検非違使と戦って深手を負ったのを覚えているか?」
「………。ああ…」
薬研は日光に巻かれた包帯を取って、怪我の具合を診ながら淡々と経緯を話した。
「…そうだった、な」
もっと鍛錬し、強くならなくては。
不甲斐ない思いをしてしまった。
このままでは、山鳥毛の左腕としても申し訳が立たない。
「…お頭に、謝らなくては」
「山鳥毛に謝ることも必要だが、大将にも礼を言っておけよ」
「主に…?なぜだ」
「山鳥毛にでも聞けよ。手当て、終わったぜ」
「…すまない」
しばらくは安静にしていろと薬研に言われた。
薬研が手入れ部屋から出て行くのを見送ったが、主に礼を言わなくてはいけない理由がさっぱり分からない。
「…礼、か」
何故だろう。
礼を言わなければいけない理由は分からないのに、主の顔を思い出したら、胸の辺りが温かくなるのを感じた。