第1章 眠り姫
薬研からしばらくの間は出陣だけは禁じられたが、散歩や軽い運動ならして良いとの診断が下った。
「小鳥の様子はどうだ?」
「いや、まだ眠り続けたままだ。この間日光の旦那に…」
そんな話し声が聞こえてしまった。
「俺が、どうかしたか」
軽く散歩をして帰ってきた日光一文字の姿が、薬研と山鳥毛の後ろにあった。
「我が翼よ、ちょっと来てくれ」
「何でしょうか」
山鳥毛と薬研に案内され、主の部屋へ。
「小鳥よ、失礼するぞ」
山鳥毛に来いと合図され、日光は部屋の奥へと歩を進める。
そこにはベッドで眠っている主がいて。
「眠っているようだが?」
「そうだ、眠っているんだ。日光の旦那に霊力を使った後からずっと…な」
「…何?」
胸がざわつく。
自分に霊力を使ったせいで、主が深い眠りについていると聞いて。
「…主は、起きるのか?」
「ああ。どれくらい時間がかかるかは分からないが、自然と目を覚ますはずだ」
「燭台切の時は3日、だったな」
「ああ…。その3日間はすごく長く感じたな…。
大将が目を覚ましてくれて本当に良かったって今でも思ってる」
「燭台切の時で3日…。我が翼の負傷具合によりけりだが、3日…いや、それ以上日にちがかかるかもしれないな…」
自分の命を犠牲にして霊力を使うのは、負担が大きすぎる。
だから頻繁に使わないようにと事情を知っている刀剣男士達は釘を刺しているし、使う時は加減をしろと注意を促す。