第1章 眠り姫
「大将、俺達にも自然治癒力はある。くれぐれも、無理はすんなよ」
「無理…とは?」
「やりすぎると、大将も報いを受けちまうんだ。
過去にも経験しているからこそ、無理はしてほしくない」
「そうか…。それもそうだな…」
日光の胸…人間で言う心臓がある辺りに両手をかざし、全神経を手に集中させる。
目を伏せて深呼吸を1つして。
「……はぁーーーー…っ」
審神者の手が青白い光を放ち、日光の胸を照らしている。
無愛想だけど、力は本物。
長谷部みたく主命をこなしてくれるし、いざとなったら一文字一家の長である山鳥毛を自らの命を呈して守ろうとする部下としても心強い刀。
本丸の主力太刀の1振に入るほどだ。
それが日光一文字。
戻ってきて欲しい。
今度は自分とも、話をしてほしいから。
「………っ!」
手がじわじわとしびれてくる。
それを見逃さなかった薬研が主の手首を掴んだ。
「大将、もういい。もうやめろ。それ以上やったら大将の方が危険だ」
「………!」
ハッとして翳していた手を戻した。
「小鳥は、大丈夫なのか?」
「あ、ああ…今のところは何とも…」
「…日光と山鳥毛の事は薬研に任せるから。私は仕事に戻ります」
手入れ部屋を出て行くと、力を使いすぎたかなと足が少しだけよろけていた。
「……あは…、やりすぎた、かな…」