第1章 眠り姫
遠征先での仕事を終えた一文字一家。
「っしゃー、任務完了、にゃ!」
「子猫、報告書を纏めて提出しない限り、任務完了にはならないぞ」
日光は万屋の前で足を止めていた。
「…………」
「いらっしゃい。ゆっくり見て行ってよ」
店内を見ていると、紫色の花飾りが目に付いた。
「それは桔梗のかんざしだよ」
「桔梗、ほう…?」
このかんざしを使う主を想像してしまい、まさか自分が主を?と疑問に思ってしまった。
だが、今は眠っている主に早く目を覚まして欲しいと思う一方で、彼女のことを思い出すと胸が熱くなるのを感じて。
「………ふむ。では、これをもらおう」
「ありがとうございます」
目に付いた桔梗のかんざしを、主への土産として購入した。
喜んでもらえたら嬉しい。
そして、自分が遠征から帰ってきた時に目を覚ましていて欲しいところだ。
「日光の兄貴、そろそろ帰還するにゃ」
「相分かった」