第1章 眠り姫
**
短刀達が、本丸内を果樹園化した畑の横にある休憩所で果物を食べている。
「ん、美味いな、この林檎」
「梨も瑞々しいよ!」
「皆、これも味見して欲しいんだけど」
そう言って籠から出したのは、先程収穫したばかりの葡萄。
ツヤツヤした紫色の玉が、房にくっついている。
水で洗われた実は光を反射して輝いている。
「わぁ〜、主君!これは葡萄ですね!」
「そう!新しく苗木を買って育てていたの」
「主、その葡萄を俺にも分けてくれないだろうか」
「日光も味見する?」
「ああ、もらおう」
短刀達と畑仕事をしていた日光も、それに便乗した。
主が差し出した葡萄の実を1つとり、口に運ぶ。
「うむ、瑞々しく芳醇…。酸味も絶妙だな」
「わ〜、いいな〜」
「まだあるから、収穫してくるね」
自分が収穫した分は短刀達に差し出し、改めて収穫するために畑へ向かう。
「日光、手伝って」
「ああ、任されよう。主、収穫したら少し葡萄を俺に分けてくれないだろうか」
「なぜ?」
「葡萄酒を仕込みたい」
「ああ、そういうことなら構わないよ。
食べるだけが全てじゃないと思うし、他に食べ方がないか相談しようと思っていたし」
**
…そうだ、葡萄…。
葡萄を育てていたんだ…。
葡萄棚は今、どうなっているのだろう。