第12章 同僚
「いらっしゃいませ!一名様ですか?」
『いえ、また後で連れが来ます。』
「かしこまりました。テーブル席にご案内します。」
私は今日仕事が休みの日で
何故か赤井さんに呼び出されて一軒のカフェを訪れている。
『話があるとか言ってたけど…また組織の話とかじゃないよね…?』
もう疑われるのは懲り懲りだ。
まぁ、赤井さんは私のことを組織の人間だと疑っている様子はない…と思う。
前みたいに冷たい目を向けられなくなったし、何も聞いてこなくなったから…
直接言われたわけじゃないし、本当のところは分からないんだけどね。
店員に出された水を飲みながら
一体何の話をされるんだろう、と考えていると
カフェの入り口から赤井さんともう1人……どこかで見たことのある金髪の女性も一緒に私の元へと向かってきた。
「悪い美緒。待たせたな。」
『いえ全然。あの…今日は一体…?』
赤井さんと金髪の女性の顔を見ていると、赤井さんが先に口を開いた。
「コイツは俺の同僚でな。美緒と会って話したいと言うから連れてきた。バスジャックの事件の時に会っていると思うが…覚えているか?」
……あー!!
確かにその時に見たことある人だ!
蘭ちゃんが通う高校の英語教師って聞いた気がする!
それに別の日にも毛利探偵の事務所の前で会ったよね?
もう1人の外国人と江戸川くんと一緒にいて
すぐ車に乗って消えちゃったけど…
確か名前は…
『覚えてます!えーっと…ジュディさん!』
「…ばか、ジョディだ。」
『!?す、すみません!間違えました!!』
名前を間違えるなんて失礼すぎる…!
自分の記憶力の無さを呪いたい…。
「ふっ……あはは!あなた面白いわね!
シュウが気に入ってる子だって聞いていたから
きっと魔性の女なんだろうって想像してたけどイメージと全然違ったわ!」
ま、魔性…!?っていうか気に入ってるって…!?
赤井さん私のことをそんな風に話してたの!?