第57章 綺麗
…という経緯で見学に来て
私はワクワクした気持ちのままヨーコちゃんが撮影現場に現れるのを待っている。
ちなみに昴さんも一緒に来てくれたのは
私が見学に行く事を話したら急ぎの仕事はなかったようで着いてきてくれたんだ。
「沖野さん準備できました。入られまーす。」
『!!』
スタッフの人の言葉を聞いて
撮影現場の入り口に目を向けると
可愛い洋服に身を包んだヨーコちゃんが入ってきた。
『か、か、か、可愛い〜!!』
「ふふん、私がデザインした服もイケてるでしょ?」
『最高だよー!すっごく可愛い!紗栄子天才!』
「さんきゅっ!じゃあ私はもう少し近くで見てくるから
のんびり見ててね〜。」
紗栄子にとってはこれも仕事の一環らしいけど
すごく楽しそうに生き生きしながら撮影の様子を眺めていた。
ヨーコちゃんがカメラマンの人の指示通りに
様々なポーズを取りながら撮影されている様子を眺めていると、私の隣に立っていた昴さんの笑い声が聞こえてきた。
「美緒さんは本当に沖野ヨーコが好きなんですね?」
『うんっ!だってすっごく可愛いもん!』
「まぁ、僕からしたら美緒さんの方が可愛いですけどね?」
『!?な、何言ってんの!?
そんな事ヨーコちゃんのファンの人に聞かれたら私殺されちゃうよ…!』
「その時は守って差し上げます。
心配する必要はありまんよ?」
別に心配してるわけじゃなくて…
ニコニコしながら変な事を言ってる昴さんへの反応に困っていると、撮影を終えたヨーコちゃんが私達の元に近づいて来た。
「あれ…?あなた確か…
この前毛利さんと一緒にテレビ局に来てた…」
『あ、はい!若山 美緒です!
覚えてて下さったんですか!?』
嬉しい…!最高に嬉しい!!
ヨーコちゃんに自分の事を覚えてもらえてたなんて
もういつ死んでもいい!!