第57章 綺麗
「美緒!お待たせー!」
『紗栄子遅刻ー。お腹空いたんだけど…』
「ごめんごめん、ちょっと寝坊しちゃってさ〜」
今日は友人の紗栄子とランチに行く日。
店の前で彼女を待っている間に
私はかなりお腹を空かせてしまっていた。
「じゃあ早くお店入ろ!
私も何も食べてないからお腹すいてるの〜。」
『もう…マイペースなんだから…』
「そんな怒らないでよ〜。
今日は美緒にいい話持ってきたんだからさ?」
いい話って…なんだろう…?
すごくニコニコしながら私に顔を向ける彼女…
何の話か気になりながらお店に入ろうとしたところで
後ろから私を呼ぶ元気な声が聞こえてきた。
「あー!若山先生だー!」
『あれ…?みんなもこの店でランチ?』
振り返るとそこには
阿笠さんと探偵団の5人の子供達が揃っていた。
「博士が知り合いからここの割引券もらったんだ。
博士の家に遊びに来てたコイツらも一緒に食べに行こうって話になってね。」
『へぇー!そうだったんだ。』
「ねぇ美緒、この子達って
前にもアニマルショーで会ったよね?」
『うん。私のクラスの生徒じゃないけど
休みの日に時々外で会うから仲良しなの。』
紗栄子も私と同じでなかなかの子供好きだから
お店の前で少し話してるだけですぐに打ち解けていた。
「ねぇ先生、どうせなら一緒に食べない?
そっちの方が楽しそうだし!」
『えっと…紗栄子、どうする?』
「いいんじゃない?大勢の方が賑やかで楽しいし!」
友人の了承を得たところで
私達はみんなで同じテーブル席に座り、それぞれ料理を注文した。
終始楽しい雰囲気のまま食事を終え、
紗栄子も子供達との会話を楽しんでいた。
「ねぇねぇ、紗栄子お姉さんは何のお仕事してるの?」
「私はね、ファッションデザイナーの仕事をしてるよ。
それでさ美緒、来週の日曜って暇?」
『うん、特に何も予定ないよ?』
さっき言ってたいい話を聞かせてくれるのかな…?