第56章 返事 ✴︎
全く動かすことの出来ない体を休める為
裸でベットに横になったまま赤井さんに抱き締められていると…
「美緒…
この前話があると言ったのは覚えているか?」
『うん、覚えてるよ?』
先日、事件に遭遇した帰りに赤井さんから言われてたし
きっと今からそれを話してくれるんだろうと思っていると、赤井さんは私から体を離し、顔を見ながら話し出した。
「安室くんが俺の過去をお前に話そうとしただろう?
それは彼が…俺を恨むようになった原因でもあるんだ。」
そう話す赤井さんはなんだかとても辛そうで…
今もその時の出来事を悔いている様子だった。
『話したくなかったら…無理しなくていいよ…?』
「いや…美緒には聞いて欲しい…
俺がまだ組織に潜入していた頃のことだ。」
『じゃあ…安室さんも昔から組織に潜入してたの?』
「ああ…俺と安室くんは組織の任務をこなす時
よく一緒に組んでいたんだ。
俺達以外にもう1人…スコッチという男も一緒にな。」
スコッチ…
イギリスのスコットランド地方のウイスキーだ。
『そのスコッチさんは、今も組織に…?』
「彼は安室くんと同様、公安警察のスパイでな…
奴はもうこの世にはいない……
俺が彼を…殺してしまったんだ。」
『っ、え…』
初めて聞く赤井さんが人を殺したという言葉に動揺した。
そんなわけない、と思ったけど
赤井さんの表情からして嘘をついているようには見えなかった。