第50章 同行
哀「でも、なんで先生までわざわざ
血塗られた殺人現場なんかに連れて行くのよ。」
確かに…私も灰原さんと一緒に
留守番していた方がいいような気がするんだけど…
そう思っていると、昴さんは私の肩に手を回して
グッと引き寄せた。
「せっかく美緒さんの仕事がお休みなんですから
一緒にいれないのはもったいないじゃないですか。」
『なっ…!ちょっと昴さん!?』
哀「あら、先生ついにこの人と付き合い始めたの?」
『っ、えっと…まぁ……一応…』
自分のクラスの生徒じゃないとはいえ
教え子に交際宣言するのはかなり恥ずかしい…!
今までは黙っていたけど
昴さんからこんな風に抱き寄せられたら流石に誤魔化しようがないよ…。
哀「若山先生、
ちゃんとこの人に料理教えてあげなさいよ?」
『う、うん…分かった…』
微妙な顔をした灰原さんに見送られて
私達は奥穂町へ向かうことになり
昴さんは家を出てすぐにスマホを取り出し、どこかに電話をかけているようだった。
「彼女の警護…任せたぞ、キャメル。」
工藤邸の洋館を眺めながら電話をしてたから
きっとキャメルさんは私達が出掛けるところを見ているのかもしれない。
『あの…赤井さん…?
本当に私もついて行っていいんでしょうか…』
「ああ…お前には話しておきたいことがあるからな。」
『?話って…?』
「それはまた後でな。」
何の話だろう…
気にはなったけど
赤井さんは今から向かう殺人現場のことで頭がいっぱいみたいだから、話してくれるタイミングを大人しく待つ事に決めた。
…そして阿笠さんの車に乗って奥穂町にある大きな屋敷を訪れた。
屋敷の門には何回か事件現場で会った事がある
高木刑事、と呼ばれる人が私達を迎えてくれた。
「阿笠さん!お待ちしてました…って、
1人じゃなかったんですか?」
阿「あ、いや…」
「実はあのハサミの開発に私も関わっていましたので…
お邪魔でしょうか?」
「いえ、まぁ…そういうことなら…」
…絶対嘘ついてるよね赤井さん。
っていうか阿笠さんの助手をしてる設定なのも
初耳なんだけど。