第48章 脆弱
「勘…だな。」
『え…!?か、勘!?』
なんだかその答えは赤井さんらしくない…。
いつもなら論理的思考に基づいて
分かりやすくスマートに説明してくれるのに…
「お前と電話をした時は
2階の教室にいると言っていただろう?
その後、電話が切れるまでに複数の足音が聞こえたから
美緒が犯人達から逃げているのが分かって
3階に逃げたんだろうと察しはついたんだが…」
そこまで分かっただけで十分すごいのに…
赤井さんは勘まで鋭いってことなのかな。
「お前のことを考えていたら
何となくあそこにいる気がしたんだ。
それにあの時は必死だったから……自分でもよく分からん。」
…本当に赤井さんらしくないけど
私のために必死になってくれたことが嬉しい。
詳しい説明なんてもういらない…。
赤井さんは私の事を思って助けに来てくれた…
その事実だけで満足だ。
『ふふっ。』
「?何がおかしいんだ。」
『いえ、なんでも。
ただ赤井さんに好かれてるなーって実感できただけです。』
ニコニコしながら顔を見て伝えると
赤井さんはポカン、とした表情をしていた。
「何だかよく分からんが…
美緒のことが好きなのは合ってる。」
『私も…赤井さんが大好きです。』
自分の気持ちを素直に伝えると
赤井さんは真剣な表情に変わり、私の頬に片手を添えた。
「美緒…キスしても平気か…?」
いつもならさりげなくキスをしてくれるけど
きっと私が男達に犯されそうになったから
赤井さんは気を遣ってくれているのかもしれない。
…そこまで気にするなんて赤井さん優しすぎる。
『たくさん…して欲しいです…』
「ふっ…本当に美緒は可愛いな?」
『っ…んっ…』
ゆっくり私達の唇同士が重なって離れて…
でもまたすぐに重なって……
ただ唇を合わせるだけのキスを繰り返してるだけで
私の呼吸は少しずつ荒くなり、体が赤井さんを欲し始めた。