第7章 瞞着
あいつが組織のことを何か知ってるとは明らかになったが、少なくとも敵ではないことは分かった。
もし組織の人間なら
あんな風に無防備に泣きじゃくる事などしないだろう。
演技にも見えなかった。
しかしあそこまで泣いて嫌がるくらいなら
正直に話せばいいものをなぜあいつはそれをしなかった?
美緒が知っているのは
それほど簡単には話せないようなことなのか?
…色々疑問に思う事はあるが
俺はスマホを取り出し、上司であるジェイムズに電話をかけた。
「若山 美緒の件ですが…
一通り調べましたが組織とは無関係のようです。
ですが何かを隠しているようなので、もう少し調べて見ます。」
今日みたいに無理矢理聞くことはもうしない。
ただ純粋に…あいつのことをもっと知りたくなった。
今日は見る事が出来なかったが
美緒の…花が咲いたような笑顔…
今度会う時は見れることを期待し
吸い終わったタバコを灰皿にしまってから車に乗り込んだ。