第44章 帰国
side 赤井
ジョディが運転する車に乗っていると
隣に座っていた美緒が寝ている事に気付いた。
「…あら?美緒寝ちゃったの?」
「みたいだな。」
久しぶりに見る美緒の寝顔はやはり可愛くて…
起こさないようにそっと髪を撫でている俺の様子を
ジョディはルームミラー越しに見ていたようだ。
「まさかこんなに早く日本に帰って来るとは思わなかったわ。
そんなに美緒に会いたかったの?」
「…。」
「否定しないって事はそうなのね?」
さすがに長い付き合いなだけあって
俺の顔を見ただけで何も言わずとも分かっているようだった。
「美緒ね、シュウに会えるのをすごく楽しみにしてて
昨日の夜はあまり眠れなかったんですって。」
「…っ、」
「久しぶりに会えて嬉しい気持ちは分かるけど
美緒は明日仕事なんだから…
今日は早く寝かせてあげないとだめよ?」
「あぁ…」
…だが約束は出来ないな。
そんな理由で寝不足な美緒が可愛くて仕方ないし
10日間もこいつに触れられなかったんだ。
…全く加減できる気がしない。
それに美緒は
飛行機の事故に巻き込まれていなかった俺を見て
涙を流しながら喜び、人目も気にせず抱き付いてきた。
…あんなに可愛い反応をされて
キス一回だけで我慢した俺を誰かに褒めて欲しいものだ。
「まぁ、今日は美緒にたくさん癒してもらいなさい。
明日からまた死に物狂いで働いてもらうわよ?」
「ああ…そうするよ。」
今回、アメリカでは先日起きた事件の裁判に立ち会い
組織の人間が目撃された場所を訪れ聞き込みに行ったが
特に何も情報は得られなかった。
さすがに3日間前倒しで仕事をしたから
俺の身体の疲労もそこそこあり、美緒のアパートに着くまで
俺も少しだけ眠ることにした。