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《赤井夢》Happiness{R18}

第43章 謝意



「友達を待たせてるから
すぐ戻らないといけないんですよね〜…
若山先生!今度私にも何か作ってもらえますか?」


『あ…はい…、もちろん…』

「ありがとうございます!じゃあ私はこれで!」



榎本さんはすぐに扉から外へ出て行き
私は立ち上がって安室さんに目を向けた。




『…どういうことですか安室さん。
榎本さんは急用ができたって言ってましたよね…?』

「……。僕、そんなこと言いましたっけ?」

『!!』



明らかにとぼけている安室さん。
私は大きなため息をついて、彼を睨みつけた。




『安室さんの大嘘つき!!
初めから榎本さんには声かけてなかったんですね!?』


「さぁ…?僕には何のことだかさっぱりです。」



この期に及んでまだシラを切り続ける安室さんに呆れて
私は自分の鞄を手に取った。




『もう用は済んだので帰ります!
残りのご飯はどうぞ好きに食べて下さい!』



安室さんはいつもシレッと嘘をつくんだから…!!

さっきは迫られて動揺したけど
今はもうこの人に対して、ただ怒りしか感じない。


安室さんの方を見ないようにして
私はポアロの出口に向かって歩き出したけど…




「…待って下さい美緒さん。」

『なんですか…!?言い訳なら聞きませんよ!』

「そうじゃなくて…聞きたいことがあるんです。」


背を向けてドアの取手に手をかけていると
真剣な声をした安室さんに引き止められて、私は振り返った。





「あなたは…組織の事を知っているんですか?」

『っ、え…?』

「先程、僕が組織に潜入していると話しましたが…
あなたはそれに対して何も聞いてこなかった、
普通ならどんな組織なのかを聞きますよね?」

『そ、それは…あの人に少し聞いてて…』

「あの男がわざわざあんな危険な組織の事を話すとは思えない。
大事な恋人であるあなたになら…尚更ね。」



……どうしよう。
やっぱり安室さんってめちゃくちゃ賢い…!

返答に困っていると、安室さんは再び口を開いた。




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