第41章 返礼
「私は美緒さんが楽しく過ごせる場所ならどこでもいいですよ?今日みたいに調味料目当てでも構いません。」
『あははっ、ありがとうございます。
今日は美味しい中華料理もたくさん味わえたので
そっちの方も勉強になりました。』
「勉強って……例えば?」
『焼き小籠包を分けて食べましたよね?
皮の色が翡翠色で綺麗だったから真似してみようと思いました!
あれはほうれん草を練り込んで作った皮ですね…
餡にはお肉だけじゃなくて
たぶん海老とかの海鮮系も混ぜていたから
やさしい出汁が効いて奥深い旨味が出てた……
って、すみません…!また1人でペラペラと…!!』
いい加減この変な癖は治さないと
いつか赤井さんに呆れられそうだ…。
「ははっ、なら中華街に行った甲斐がありましたね?」
『うぅ…昴さんは何が1番美味しかったですか?
今度再現して作ってみますよ。』
「そうですね…強いて言うなら
あの大きな唐揚げがまた食べたいです。」
『……無理です。あんなの家庭では作れない大きさで…』
「分かってますよ、ほんの冗談です。」
…本当に意地悪だなこの人は!
私が困っているところを見て楽しんでるとしか思えない!!
「美緒さんが作るものなら
何でも美味しいですから…期待していますよ。」
『っ…』
そんな優しい顔で言われたら、もう何も言えないよ…
そして私はいつ渡そうかずっと迷っていた
赤井さんへのプレゼントを鞄から取り出し、彼に差し出した。
『これ…この前もらった時計のお返しです。』
「え…私にですか…?」
『昴さんにはいつもお世話になってますし
この前起きた事件でも迷惑かけてしまったので
その時のお詫びも兼ねて…』
どうやら私がプレゼントを用意していたことは
バレていなかったようで…
目の前にいる昴さんの顔をした赤井さんはとても驚いているようだった。