第41章 返礼
『うーん…どうしよう…』
「いつまで迷っているんだ、早く決めろ。」
『!!そんな簡単に決められませんよ!』
先日巻き込まれた事件が解決し、
再びいつも通りの日常に戻ったある日のこと。
仕事終わりに工藤邸に来た私は食事を終えた後、
来週予定している赤井さんとのデートの行き先をリビングのソファーでスマホを見ながら悩んでいた。
「今回行けない方はまた別の機会に連れて行ってやる。」
『ありがとうございます…
でもどっちも捨て難いというか…赤井さんはどっちがいいですか?」
「お前と一緒ならどっちでもかまわない。」
『っ、またそういうこと言う…」
いつもさりげなく私を喜ばせてくる赤井さんの言葉にきゅん、としていると、赤井さんは私の隣に座り、スマホを覗き込んできた。
「今見ているこっちを行き先にするぞ。」
『はい…分かりました!すっごく楽しみです。』
「その日は仕事の電話はしてくるなと同僚に伝えておく。」
『理由聞かれたらどうするんですか?』
「?美緒とデートだからと言うだけだが…
何か問題あるか?」
…問題しかないでしょう。
FBIってデートの予定があると
そんな風に連絡拒否することもできるくらい自由なの?
「心配しなくても緊急の連絡はちゃんと取る。」
『それならいいですけど…』
「俺とお前が恋人になってから初めてのデートだろう?
出来るだけ誰にも邪魔されたくないだけだ。」
『そう思ってくれるだけで……私は嬉しいです…。』
赤井さんの方へ顔を向けると視線が合わさり
ゆっくり赤井さんの顔が近づいてきて、私達の唇同士が重なった。
ちゅっ、と音を立てて唇が離れると
私の体は赤井さんの腕の中に移動していた。
「今日はもう少し仕事が残ってるから先に寝てろ。」
『えっと…待ってたら……だめですか?』
こうして会うのは1週間ぶりで
もうすでに夜遅い時間だけど、まだ赤井さんが足りなくて…
赤井さんの胸に顔を埋めながらそう尋ねると
上からため息が聞こえてきた。