第38章 危機
ピリリリリーッ
自宅で朝食を食べている時に鳴り出したスマホ…
それは赤井さんからの電話だった。
『もしもし?』
「俺だ。悪いがお前に頼みたいことがある。」
『頼み、ですか?』
「ああ。お前の自宅に俺のタブレットがあるだろう?
それを持って来て欲しいんだ、
迎えはキャメルに行かせる。」
『え…でもそれなら
キャメルさんにタブレットを渡すだけで済むんじゃ…』
「少しだけお前の顔が見たいんだ…
…わざわざ言わせるな」
『!?』
赤井さんは最近、工藤邸にも帰ってなくて
灰原さんの警護をジョディさんに任せるほど忙しいみたいだから、私ともこの数日間、全く連絡を取っていなかった。
一度だけ学校に来てくれたけど
少し話しただけで帰っちゃったもんね…。
「1時間後にキャメルが車で迎えに行く。」
『わ、わかりました…。』
返事をすると電話はすぐに切れたけど…
先程言われたことが私の頭の中でぐるぐる回っていた。
…赤井さん、顔見たいって言ってくれたよね?
『…嬉しい。』
それにさっきの声は昴さんじゃなくて
赤井さんの声だったから……
久しぶりに聞く赤井さんの声はすごくかっこよくて
電話を切った今でも胸がドキドキしている…。
『あ……そうだ!!』
ニヤケながら朝食を食べ終えた私は
食器の片付けをした後、
赤井さんへの差し入れを作ることに決めた。