第37章 見学
昴さんが学校に来たことには本当に驚いた。
たまたま通りかかったのは本当のようだけど
仕事が忙しいようで、少しだけ話すとすぐに工藤邸へ帰って行った。
そして子供達が帰るのを見送った後で
私とソフィアさんは職員室に向かった。
「若山先生、
さっきの昴さんって人は恋人じゃないって本当ですか?」
『え!?な、なんでそんなこと…』
「探偵団のみんなが言ってましたー!」
っ、あの子達!!
ソフィアさんと何か話してると思ったら
またそんな事を話してたの!?
「すっごくお似合いに見えたのに
なんで付き合ってないんですか?
若山先生もあの人のこと好きなんですよね?
見てればすぐに分かりましたー!」
私ってそんなに分かりやすいんだ…
もう少しポーカーフェイスを鍛えないと…
『えっと…好きって気持ちは否定しませんけど
お互い大人ですから色々あるんですよ。』
「色々…ですか…。
他にも気になる人がいる、とかですか?」
『あははっ!私はそんな器用な人間じゃないですよ!
あ、職員室着きましたね。
ソフィアさん、
今日の仕事はこれで終わりなので帰っていいですよ?』
「…分かりました!ではまた明日!」
ソフィアさんは職員室に置いてある荷物を持つとすぐに帰って行き…
職員室の自分の席から窓の外を見ると
彼女はスマホを耳に当てて、誰かと電話しているようだった。
遠すぎて何を話しているかまでは聞こえなかったけど
その時のソフィアさんは子供達と接している時とは違い、とても真剣な表情だった。
「兄さん、沖矢 昴って男を調べて欲しいの。
うん……
なんか雰囲気が……あの男と似てたから。」