第37章 見学
side コナン
先生や探偵団の子供達と一緒に校門で話していたら
赤い車が止まり、運転席からは昴さんが降りて来て
若山先生は彼に近づいて行った。
『昴さん!?どうしたんですか!?』
「ちょっとドライブをしてまして…
偶々この道を通ったら美緒さんの姿が見えたので。」
…ジョディ先生から聞いてはいたけど
赤井さんは本当に若山先生に夢中のようで…
昴さんの顔付きや先生を見つめる目、雰囲気からもそれは伝わってきた。
「…ねぇ、みんな。あの眼鏡の人って誰なの?」
ソフィアさん、という茶髪のアメリカ人女性は
若山先生と昴さんが話している様子をジッと見つめていて…
まるで2人を探っているような目をしていた。
「あの人は哀ちゃんの家の隣に住んでいる
沖矢 昴さんっていう大学院生だよ!」
「若山先生のことが好きみたいなんです!」
「でも恋人じゃねーんだってよ!
あんなに仲良さそうなのにな!」
「ふーん…沖矢さん、ね。」
子供達に説明を受けている間も
ソフィアさんはずっと昴さんの事を見つめていた。
……なんかちょっと気になるな。
「ねぇ…工藤くん、」
「あぁ。この人、ただ学校を見学に来たわけじゃなさそうだな。」
狙いは赤井さんか…
それとも若山先生か…
まだ推測でしかないが、何かを企んでいる事は確かだ。
灰原が反応しないってことは
黒の組織の仲間じゃなさそうだが…
『江戸川くん?怖い顔してどうしたの?』
「!!なんでもないよ!…あれ?昴さんは?」
『もう車に乗って行っちゃったよ?
あの人に何か用でもあった?』
「ううん。特にないけど…」
『そう?じゃあ江戸川くんも灰原さんも早く帰らないと。
みんな待ってるよ?』
先生が指を差した方向を見ると
アイツらはすでに校門を出ていて俺と灰原に早く来いと手を振っていた。
「先生、あのさ…」
『ん?なに?』
「…いや、やっぱりなんでもない。」
『?ならいいけど…気をつけて帰ってね!』
先生達に見送られてから
もう一度ソフィアさんの方を見たが、彼女は先生と楽しそうに話していた。
俺の考え過ぎならいいが…
何も起きないことを祈りながら、俺は学校を後にした。