第36章 補佐
『あぁ…せっかく作ったケーキが…』
流石にこれはもう赤井さんに渡せないな…
お皿の破片が入ってたら危ないし
残念だけど仕方ないか…。
鞄に常備しているビニール袋を取り出して
ケーキとお皿を片していると、安室さんは車が走り去った方向をジッと睨んでいた。
「美緒さん、さっきの車ですけど…」
『え?なんですか?』
「…いえ、なんでもありません。
乱暴な運転をする人もいるので気をつけて下さいね。」
『あはは、本当ですね。
これからはちゃんと気をつけます!』
片付け終えたケーキとお皿は
安室さんがポアロで処分してくれるそうで
ビニール袋を手渡し、最後にもう一度安室さんに頭を下げてからアパートに向かって歩き出した。
『また今度赤井さんにレッドベルベットケーキ作って
食べてもらおう。』
アパートまでの帰り道、
私はずっとそんな事を考えていたから…
…安室さんが私の後ろ姿を見ながらぼやいていた事は耳に入らなかった。
「さっきの車、明らかに美緒さんを狙ってたよな…
嫌な予感がする…。」