第36章 補佐
side 安室
現在、喫茶ポアロでアルバイト中。
ランチタイムが終了し、梓さんと一息ついたところで
ポアロの新メニューについて話し合うことになった。
「なかなかいいアイデアが出てきませんね…。
安室さん何かありますか?」
「うーん、そうですね……
一度常連のお客様何人かに聞いてみますか?」
「常連………あ!そういえば私
いつも来てくれる1人のお婆ちゃんから
思い出のケーキの話を聞かせてもらいました!!」
梓さんの話によると
そのケーキはどうやら赤い色のケーキで…
外国人向けダンスホール近くの喫茶店で
売り出されていたとのこと。
クリームの白とスポンジの赤のコントラストが綺麗で
酸味や苦味のあるチョコ風味が印象強く残っていると言っていたそうだ。
「ネットで調べてみたんですけど
多分このケーキのことだと思います。」
「レッドベルベットケーキ…
アメリカの伝統的なおふくろの味、ですか…」
「どうです?
赤いケーキなんて可愛くて素敵じゃないですか?」
…。
確かに女性客なら見た目の可愛さから
すぐに人気商品になるかもしれないが…
どうしても色が気に入らない。
「乗り気じゃないですね、安室さん…
赤色が嫌いなんですか?」
「い、いや…そういうわけじゃありませんけど…」
本当はあの赤井の事を嫌でも思い出してしまうから
大嫌いだと言いたいが、
梓さんにそんな事を言うわけにもいかず…。
「…わかりました。じゃあ作ってみましょうか。」
「はい!あ、そうだ!あの人を呼んで下さいよ!」
「?あの人…とは…?」
「ほら!コナン君達が通う小学校の先生ですよ!
料理がすごく上手で、この前作ったシフォンケーキも
美味しくなるコツを教えてもらったって安室さんも言ってたじゃないですか!」
確かに美緒さんがいれば
僕と梓さんだけで作るよりも格段上に上手く出来そうだが
お願いしたところで来てくれるだろうか…。