第6章 正体
水無さんの自宅へ来た私達は
詳しく話を聞く為に家の中にお邪魔することにした。
すると江戸川君が玄関の扉付近で何かしているのを目撃した私…
ガムを噛んで口から出した後、メガネを外し何かの部品を包んで扉の外の壁にギュッと押し付けていた。
『…江戸川くん?何してるの?』
「っ、何でもないよ?」
『……そう?ならいいけど。』
…本当は全部見てたから知ってるんだけどなぁ。
でもきっと探偵のお仕事をしてるんだと思ったし
深く突っ込まず彼に背を向けてリビングに向かおうとしたら
逆に私が江戸川くんに引き止められた。
「僕が何してたのか最初から見てたよね?
イタズラしていたかもしれないのに…
先生、なんで僕に注意しないの?」
…なんだか疑いの目を向けられてしまった私。
頭が良すぎる子と接するのって…めんどくさい!!
『…私がなんて答えたら君は満足するの?』
「…。」
ちょっと意地悪な質問をしたら、彼は黙ってしまい…
その時、フッと頭の中に聞いたことのあるフレーズが思い浮かんできて、彼と視線を合わせながら口を開いた。
『女はね、秘密を着飾って美しくなるんだよ?』
そう口にすると彼はギョッとした顔つきに変わり
どうしたんだろう?と思っていると蘭ちゃんが私達を呼びに来た。
「若山先生、コーヒーでいいですか?」
『あ、ごめんね蘭ちゃん。私も手伝うよ。』
「コナン君はジュースでいい?」
「あ…う、うん。」
歯切れが悪い彼に背を向けたまま、私達はリビングに向かった。
みんなでお茶をしながら
ピンポンダッシュの話を水無さんから詳しく聞いている間、江戸川くんは私のことをずっと睨みっぱなし。
…あの台詞ってもしかして
江戸川くんの敵のセリフだったのかな……?
「どうしたのコナン君。
さっきからずーっと若山先生のこと見てるけど。」
『えー、本当?ひょっとして江戸川くん
先生のこと好きになってくれたのー?』
「違っ…!そんなんじゃないよ!!」
冗談でそう言ったのに割と本気で焦ってる彼が面白くて
私がクスクスと笑っていると江戸川くんに呆れた顔で見られた。