第34章 水泳
赤井さんと過去に出会っていた事を思い出してから
彼の事がもっともっと好きになり
それは現在進行形で毎日好きが募っていく…
今日も仕事終わりに工藤邸にお邪魔しに来て
2人で作ったご飯を食べてから順番にお風呂に入った。
さっぱりして気分が良くなったところでリビングに行くと
そこに赤井さんの姿は無くて……
『どこにいるんだろう……書斎かな?』
リビングを出て通路を歩き
書斎の扉の前に来ると少しだけ開いていて…
中を覗くと、赤井さんはお酒の入ったグラスを持ち
頬杖をつきながらノートパソコンの画面を眺めていた。
『ここにいたんですね。お仕事中ですか?』
「ん…ちょっとな。」
赤井さんの元に近づくと、なぜかすごく機嫌が良さそうで
優しく笑っていた。
『何かいい事でもあったんですか?』
そう尋ねると赤井さんは私を手招きして
ノートパソコンの画面を見せてくれた。
『あっ、太閤名人七冠達成したんですね!
すごいなぁ…!赤井さんこの人のファンなんですか?』
「いや…ファンというかなんというか…」
『?ひょっとしてお知り合いですか?』
「……弟だ。」
……。
弟…!?
太閤名人が!?!?
『え……
でもこの人の本名って羽田 秀吉さん……ですよね?』
「弟は羽田家の養子になったんだ。
元々その家には羽田 浩司という天才棋士がいたんだが
亡くなってしまったんでな…。」
赤井さんの話を詳しく聞くと
亡くなった羽田 浩司さんの夢が
七冠を達成する事だったようで……
当時プロ棋士を目指していた太閤名人が
羽田さんの夢を継ぐために養子に入ったとのこと。
『そういえば…
江戸川君達が太閤名人に会った事があるって
学校で自慢していたのを聞きました。』
「ああ…
殺人事件の容疑者になったみたいだったぞ。」
…きっとその事件も
江戸川くんが活躍して解決したんだろうなぁ。