第32章 留学
『っていう感じで1ヶ月間アメリカで過ごしました。』
「なるほど…
美緒さんは昔から料理が好きだったんですね。」
アメリカでの生活を安室さんに話すと
その時の生活の記憶が色々と蘇ってきて
とても懐かしい気持ちになった。
「でも美緒さんが英語を話せる事にも驚きましたよ。」
『幼少期から習っていたんです。
自分の話す英語がアメリカでも通じるって分かったので
ホームステイじゃなくて旅行みたいな感じでしたね。』
だからアメリカで過ごした1ヶ月間は
本当に楽しかった思い出しかない。
今でも時々、ホストファミリーの人と文通してるし
長期の連休がとれたら
また遊びに行きたいなって思ってる。
『あ…でも少し怖い目に合った事もありました。』
「怖い目…ですか?」
『はい。さっき話した女優さんが帰った後で
ちょっとガラの悪い男の人に絡まれちゃったんです…。
「腹減ってるからサービスのその菓子よこせー!」って言われて。』
あの時は本当に怖かった。
その男の人達は二人組で、私よりも背が高いし
強い口調で言ってくるから圧もすごくて…
「どうやって助かったんですか?
まさか僕の時みたいに足を踏んだりとか?」
『…安室さんって結構根に持つタイプですね。』
「どちらかといえばそうでしょうか。」
でも私は謝らない!
あの時のことは安室さんが悪いんだもん!
「それで?実際のところはどうだったんですか?」
『通りがかった男の人が助けてくれたんです。
実はその人も日本人…で………』
あれ…?
ちょっと待って……
今までずっと忘れていたけど
あの時私を助けてくれた人って……