第32章 留学
私が滞在した家庭はすごくいい人達ばかりで…
短期間だけど私を本当の家族のように接してくれた。
ホームステイ先のその家庭は
自営業でケーキ屋さんを営んでいて、私も時々手伝いをさせてもらった。
私が滞在している間に
開店5周年の記念日を迎え、それを祝して
ケーキを購入してくれたお客さんに
サービスでカップケーキを配る事になった。
実はそのカップケーキは私の手作りで…
いつも美味しいご飯を作ってくれるホストファミリーに
お礼と称してカップケーキを作ってみたら
すごく美味しい!と喜んでくれて、私も手伝う羽目になったというわけだ。
もちろん私はお菓子作りが大好きだから
喜んで引き受けたんだけどね?
カップケーキを配るのは1日限定。
そのお店は地元の人達にとても人気のある店で
開店記念日の今日は、朝からそこそこお客さんが訪れている。
私の役目は
ケーキを買って外に出てきたお客さんに
カップケーキをサービスだと言って渡す事だった。
『Please help yourself!(よかったらどうぞ!)
This is a service to commemorate the opening of the store.(開店記念のサービスです。)」
ケーキを差し出すと、お客さんはみんな喜んで受け取って
とても嬉しそうに帰って行った。
私の作ったお菓子を受け取ってもらえる事に喜んでいると
テレビで見たことがあるハリウッド女優が私の目の前を通り過ぎようとしていた。
『っ、Excuse me!』
その女性は、シャロン・ヴィンヤードという女優で
日本にいる時に何度か彼女が出ていた映画を見た事があったから覚えていた。