第30章 救済
side 赤井
リビングのソファーで体を重ね、
美緒は行為が終わると気を失うように眠ってしまった。
いつもと違う場所でする事に柄にもなく興奮して
滅茶苦茶に抱き潰したからな…
2人でソファーに寝転がると少し窮屈に感じるが
美緒とピッタリとくっつく事ができるし…
悪くない。
眠っている美緒の寝顔をしばらく眺めていたが
喉を潤しに行こうとソファーから立ち上がり
下着とズボンだけを履いてキッチンに向かった。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し
グラスに注いで口に含みゴクッと飲み干していると
背後から足音が聞こえてきた。
「悪い、起こしたな。」
『いえ…私もお水貰ってもいいですか?』
俺が使っていたグラスに水を注ぎ美緒に手渡すと
俺に礼を言ってから水を飲み干していた。
使ったグラスを洗い、寝室で寝ようと俺に体を向けて
声をかけてきた美緒の額には、痛々しいガーゼがあり…
彼女の前髪を避けて傷が痛まないようにそっと額に触れた。
「怪我をさせてしまって…悪かったな。」
『赤井さんのせいじゃないんですから
謝る必要なんてないですよ?』
そう言いながら困ったように笑う美緒は
俺が再度謝罪しようとしたら
それ以上謝るな、と目で訴えてきた。
『赤井さんがいたからこの程度の怪我で済んだんです。
あなたが命懸けで観覧車を止めようとしてくれたから…
だからもう…謝るのは無しにして下さい?』
本当にこいつは…
俺の謝罪はいつも聞き入れてくれないな…
俺に対して甘くて優しい美緒が愛しくて…
自分の腕の中に彼女を閉じ込めた。
「今回の任務はいつも以上に力が入ったよ。
お前を死なせるわけにはいかなかったからな。」
本当に…美緒が無事で良かったと心から思った。
こいつが死んだら俺は…きっと立ち直れないだろうから…
『そう思ってくれて嬉しいです…。
でも赤井さんも私を置いて死なないで下さいね…?』
「当たり前だろう…俺はこれからも
お前と一緒にいたいからな。」
そしてこれからもずっと
美緒の命は俺が守り続ける…
心の中でそう固く決意した。