第28章 真相 ✴︎
『赤井さん…?どうしたんですか?』
「…まさかキャメルまでお前を狙っていたとはな。」
『!?えっ、と……』
なんて言ったらいいのか分からなくて言葉を詰まらせていると
再び赤井さんの声が降ってきた。
「…あまり妬かせるな。」
『っ、はい……気をつけます…』
後ろから抱きしめられながらそんな事を言われて
ドキドキしないわけがなくて…
口から心臓が飛び出そう…。
なんだか手も震えてきて
洗っているコーヒーカップを落とさないようにするのに必死になっていると、赤井さんは私の耳元に唇を寄せた。
『!ひゃっ…』
「こら、落として割るぞ?ちゃんと洗え。」
そんなの無理!
私が耳弱いの知ってるくせに…絶対わざとだ!
『耳元で喋るのやめて下さいよ…』
「ふっ…悪い。お前が可愛すぎるから虐めたくなった。」
『〜〜っ!赤井さんの意地悪!!』
「ははっ、そんなに怒るな。」
その後は洗い終わるまで何もされなかったから
カップを割る事はなかった。
「じゃあ…残りの同棲生活を満喫しようか。」
『え…っ、な、何するつもりですか…?』
「…なんだと思う?」
…そんなニヤケ顔で言われたら、思いつく事は一つしかない。
『す、昴さんの顔のままじゃ嫌です……』
「だろうな。お前の体を堪能するのは夜までお預けだな?」
やっぱり体を重ねる気だったんですね!?
分かりやすすぎる!!
「一緒に映画でも観るか。
書斎にあったDVDを適当に持ってくるから待ってろ。」
そう言ってキッチンを出て行こうとした赤井さんの腕を
私はギュッと掴んで引き留めた。
「…美緒?どうした?」
不思議そうに私の顔を覗き込んできた
昴さんの顔をした赤井さん…
私は彼の襟元を掴んでグッと引き寄せ
昴さんの唇に自分からキスをした。
「…っ、おい、美緒…」
『キスだけなら…昴さんのままでも…いいので…』
目を逸らしながらボソボソと話すと
赤井さんは私の腕をグッと引っ張って私の唇を口で塞いだ。
『んっ……赤井さん…?』
「夜はこんなもんじゃ済まないからな。」
『っ、はい…』
その日の夜は、野獣化した赤井さんに朝方近くまで抱かれ続けた私だった…。