第4章 熊猫
「はい、阿笠ですが。」
『あ。もしもし若山です。先程はどうも。
お聞きしたいことがあって電話したんですが…』
私が子供達と一緒にいたのは午後2時近く。
現在は5時で、3時間ほど経っていたから流石に家にいると思って阿笠さんの自宅に電話した。
灰原さんはこの人の家に住んでいるって以前番号を聞いて登録していたからね。
「おー先生。どうかされましかな?」
『実は私…ジェイムズさんが拐われた現場にいたんです。
でも男の人に殴られて気を失ってしまって…
先程気がついたらなぜか家にいたんです。』
阿笠さんに事情を説明すると
私のことを心配してくれる言葉をかけてくれて
何ともないと伝えると安心してくれたようだった。
「ジェイムズさんならコナン君達が見つけてくれてな?
彼を攫った犯人の男達は捕まえたんじゃが…
事情聴取の前にジェイムズさんは消えたんじゃ。」
『え…?消えたって…なぜですか?』
「それは分からないんじゃよ。
まぁ無事なのは確認したし、もう心配しなくても大丈夫だとは思うがのぉ。」
うーん…。まぁ無事ならいっか。
阿笠さんに教えてくれたことに対してお礼を伝えてから電話を切った。
そして
晩ご飯の支度をしようとベットから立ち上がると
自分の服と髪に僅かだがタバコの匂いがついていることに気づいた。
『このタバコの香り……どこかで嗅いだことあるような…』
思い出そうとしてみたけど、やはり私は頭が悪いので
いつどこで嗅いだのか全く思い出せず、晩御飯を食べ終わる頃にはそんなこと全く気にしなくなって、頭から抜け落ちていた。