第26章 授業
優作さんと有希子さんと知り合ってから
数日経ったある日の事…
『パン教室、ですか?』
「えぇ、今度の土曜日に。
知り合いの喫茶店の店員さんに講師をお願いしてて学校に来てもらう予定なんですけど、実は私が出席できなくなってしまいまして…」
学校の職員室で、私の席の隣に座っている小林先生が
今度行われる予定のパン教室のことを話してきた。
1年に1度実施している手作りパン教室は
子供達は自由参加で、毎年順番に教員が1人参加することになっていて、今年は小林先生の番だったらしい。
「実は私の母親が足を骨折してしまいまして…
普段は父が世話をしているんですけど
土曜だけはどうしても外せない用があるみたいで…」
『そういう事情なら仕方ないですよ。
私が代わりにパン教室参加しますから
小林先生は親孝行してあげて下さい。』
「本当にすみません…。このお礼は必ずしますから!」
何度も私にペコペコと頭を下げる小林先生。
でも私は料理するのが好きだし
土曜は休みの日だけど、その教室に参加するのは全然苦じゃなかった。
むしろパン作りなんて楽しそうでワクワクするくらいだ。
そして、パン教室に参加する生徒の名簿を受け取り
当日の流れなどの説明を簡単に受けた。
土曜日まであと数日…
私はその日を楽しみにしながら毎日を過ごし
あっという間に土曜日は訪れた…
でも…
まさかまたあの男性に会うことになるなんて
全く予想できなかった……