第23章 信用
「…つまりお前は
元々は別の世界で生まれて生涯を終えてしまい
何故かこちらの世界で生まれ変わってしまった、と…」
『はい…
私が元いた世界では、ここの世界は物語になっていて…
原作は漫画ですがアニメや映画でも有名みたいでした。』
そして
私の前世での職業がレストランの副料理長であること。
その職場の人に物語や登場人物の話を聞かされていて
赤井さんのことも知っていたこと。
赤井さん達が追っている組織について知っていること。
灰原さんが…組織を抜けたシェリーであること。
彼女が宮野明美さんの妹だと知っている事を話した。
『私が知っている組織のことは
彼らのコードネームがお酒であること……本当にそれくらいなんですけど…
なんせ料理人だったので
お酒の種類は昔勉強して覚えていたんです。
だから以前…赤井さんにお酒の名前を聞かれた時
すぐに答える事ができました。』
ある程度話し終わると
赤井さんは顎に手を当てて少し考え込んでいた。
「お前の話は大体わかった。
いくつか質問するから答えてくれ。」
『はい、もちろんです。』
「以前ボウヤに言った
"女は秘密を着飾って美しくなる"という言葉…
それは前世で聞いたから知っていたということか?」
『いえ…私、
こっちの世界で高校生の時にアメリカでホームステイをしてた事があるんです。その時に有名なハリウッド女優に会って…その人の言葉を真似しただけなんです。』
「その女優は…シャロン・ヴィンヤードか?」
『!?よく分かりましたね!その通りです!』
赤井さんでも知ってるくらいだから
やっぱりあの人はかなり有名な女優なんだ。
でも残念ながらすでに亡くなっているんだけどね…
そう思っているとまた別の質問が降ってきた。
「前世ではなぜ生涯を終えたんだ?」
『えーっと…事故で車に轢かれて死にました。
死んだ時の年齢は30歳ですけど、今は25歳です。』
…さすがに付き合っていた彼氏に振られて
泣きながら走って道路に突っ込んで車に轢かれたとは言えなかった。ただ単に恥ずかしくて。