第21章 標的
美緒の様子が少し変だったそうだが、
阿笠博士が自宅まで送っていってくれたと聞いた。
「…酒でも飲むか。」
キッチンに向かおうとするとインターホンが鳴り
誰だ、と思ってモニターを確認すると、家に帰ったはずの美緒が立っていた。
玄関の扉を開けると、
美緒は俺の目を真っ直ぐ見つめながら話がある、と言ってきた。
その時の美緒の目は
何か覚悟をしたような決意を固めたような……
今まで見た事がないくらい真剣な眼差しだった。
その目を見た時、何となく聞かれることは予想できた。
追い返すこともできたが
そうしたところで美緒はまた別の日に改めて話をしに来るだろう…
俺も覚悟を決め、美緒を家の中に招き入れた。
そして2人でリビングのソファーに座り、美緒から話し出すのを待った。