第19章 亡霊
今日は…昴さんとデートする日…
『…いやいや!
デートじゃなくて買い物に付き合うだけだって!』
自分で突っ込んではいるけど
いつもより少し服装と化粧に気を遣っている私……
だって昴さんってすごくカッコいいし
相応とまではいかなくても、私もそれなりに着飾らないと周りからの視線が気になるじゃん!
朝から数えきれないくらいの服を鏡の前で合わせ
ようやく決まって全ての準備を終える頃には
待ち合わせの時間がだいぶ迫っていた。
『うわっ!大変!!遅刻する!』
昴さんと待ち合わせをしているのは米花百貨店の入り口。
家を出てからバスに乗り、
バス停を降りた瞬間、私は走り出した。
『もう!何でこんな日に限ってバスが遅れるのー!?』
いつもなら時間通りに来るのに
今日はどこかで事故があったみたいで時間通りにバスが来なかった。
だから私は走ってるんだけど…完全に遅刻。
街中を走り続け、米花百貨店が視界に入った時
すれ違い様に1人の男性とぶつかってしまった。
『きゃっ!』
「!すみません!大丈夫ですか!?」
勢いよくぶつかったせいで
私は尻餅を付き、手に持っていた鞄を地面に落としてしまった。
ぶつかった男性に視線を向けると
その人は綺麗な透き通った瞳をしていて、髪色は金髪。
どこからどう見てもイケメンって感じの人だった。
「本当にすみません…。立てますか?」
その男性は私に手を差し伸べてくれていたけど
私はすぐに1人で立ち上がった。
『大丈夫です。ちょっと急いでいたので…
こちらこそすみませんでした。』
「いや、僕もよそ見をしていましたから。
怪我とかしてませんか?」
『はい!全っ然、大丈夫です!じゃあ急ぐのでこれで…』
「待って下さい。」
頭を下げてから再び走り出そうとすると
金髪のイケメンに呼び止められて……彼は一枚の名刺を取り出して私に渡して来た。
「もし後で怪我をしている事に気づいたら
いつでも連絡して下さい。ここに僕の連絡先が書いてありますので。」
『え!?いやいや、怪我なんてしませんから。』
「念の為に名刺は渡しておきます。じゃあ僕はこれで。」
『あ…!ちょっと…!』