第18章 釣魚
「俺が…アイツの側にいたいんだ。
情けないと思ってもらってもいい。
美緒は俺の中でそれくらい大きな存在なんだ。」
「赤井さん…」
「分かってくれとは言わない。
最近は俺も暴走しすぎてアイツに手を出しそうになったり
告白まがいな事をしているしな…」
「…その気持ちは分かるよ。
考えるよりも先に体が動いて止まらなかったこと…
僕も経験あるから。」
「そうか…」
俺達の話はそこで終わり
ボウヤはすぐに阿笠博士の家に戻って行き
俺は沖矢昴の変装を解いてキッチンに向かって
グラスに氷とウイスキーを注ぎ、口に運んだ。
そして今日の出来事を思い返した。
「アイツ…初めて会った男にナンパされていたな…」
きっと俺と会わなくなったら美緒はいつか大事な奴が出来るかもしれない。
その方が美緒にとっても幸せになると思うが…
「…。」
…だめだ。
俺以外の男が美緒の隣にいるのを想像するだけで
胸が苦しくなる。
最近の俺は気がつくといつも美緒の事を考えていて
自分の余裕の無さに呆れながら酒を煽った。
「…今日は悪酔いしそうだな。」
いつもより酒のペースが早い。
自嘲気味に笑いながら酒を嗜み、
ウイスキーのボトル一本飲み終えてから寝室に向かい体を休めた。