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《赤井夢》Happiness{R18}

第15章 空虚




『あの…沖矢さん…?』

「美緒、さんと…呼んでもいいですか?」

『へっ?えーっと…』


どうしよう…
男の人に名前呼びされるなんて赤井さん以来だ。
でも先生って呼ばれるのもなんか嫌だし……


『うーん…』

「…だめですか?」

『っ、いえ…好きな様に…呼んで下さい。』



そんな残念そうな顔で聞かれて
ダメって言えるほど私は冷徹になれなかった…


「ありがとうございます。
じゃあ美緒さん、また後日お会いしましょうね。」



沖矢さんはそう言うと掴んでいた私の手を離してくれたので
私は車を降り部屋に向かったが、またすぐに体の向きを変えて車の方へと戻った。



車に戻ると沖矢さんは助手席の窓を開けてくれて
不思議そうに私を見つめてきた。



「どうしました?何か忘れ物でも?」

『いえ。沖矢さんってお菓子食べれます?』

「?はい、まぁ。嫌いなものは特にないです。」

『じゃあこれ!
私が作ったお菓子なんですけど良かったら食べて下さい。
本当は開人くんにあげようと思ってたんですけど
今日はまだ病院食しか食べちゃダメだったので。』

「…貰ってもいいんですか?」

『もちろん!車を出して頂いたお礼です。
他の子供達もみんな美味しいって言ってくれたので
味の保証は出来ますよ。』


そう伝えてお菓子の袋を差し出すと
沖矢さんはフッと笑って受け取ってくれた。





「ありがとうございます。有り難く頂きますね。」

『いえいえ。じゃあ私はこれで…失礼します。』



ペコっと頭を下げてから部屋に向かった私は
沖矢さんが私の後ろ姿を見て何かを呟いていたなんて
全く気づく事ができなかった。













「またお前の作った物が食えるなんてな…
ありがとう、美緒。」









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